2014.6.28
何か間違っていやしないか?
除草さえできればそれでいいのか?
確かに、戦後導入された除草剤2.4-D(に・よん・でー)によって「農家は草取り作業の重労働から解放され、楽になった」と授業では教わった。
今時、稲の植わった田んぼに入って作業していると、「何してんの?」と逆に道行く農家から尋ねられる。
よっぽど田んぼに人が入っているのが珍しいらしい。
また、ネット張りに手間取って、合鴨さん達を田んぼに放す前に、草が出ちまってどうしようもなくなることもままある。
だから、あえて考えてみよう。
除草剤が、除草ロボットに置き換わると、何が変わるだろうか?
ああそうか「農薬を使っていません」って胸を張って消費者に説明できるよね。
じゃあ、合鴨さんを除草ロボットに置き換えることは可能だろうか?
合鴨さんを田んぼに入れたら、どんな効果が期待できるんだっけ?
①除草効果、うんそうだよね。
②捕虫効果、カモは虫食べるの大好きだよね。
③濁り水効果、水をかき混ぜることで草の発生を抑えたり、田んぼのガス抜きをしてくれる。
④道行く人たちに癒しを与える効果、子供とかジッと見ているよね。
⑤食肉効果、あとで美味しく頂きます。
⑥食育効果、カモさんを食べるのは残酷だと言う人もいるけれども、命の連鎖を考える材料を提供してくれる。
⑦その他の効果、きっとあるよね。例えば稲の栄養分を横取りする雑草や、病気を媒介する虫を食べてくれて、それを稲の栄養分に変えてくれる。それだけじゃあなくて、その有機物を田んぼ一面に散布してくれる施養効果。
除草ロボットは、①は本来の目的だから当然として、③もロボットが動いている間だけは、あるのかもしれない。でもずっと田んぼにいる訳じゃあないからなあ。
④は、少しは興味を持ってくれるかもしれないけれども、癒しには繋がらないよね。
なぜなら、アイガモは成長するし、呼べば答えてくれる、時には無視される、けれどもそこがいい。
一方、ロボットは仕事は職人肌で正確かもしれないけど、成長しないからねえ。
成長するのを見守るのって、すごく脳ミソにいい働きをしていると思うんだ。
そう考えると、②を無農薬で実現しようと思ったら、捕虫ロボットが必要だし、④⑤⑥⑦に至っては、どんなに優秀なロボットを作ったとしても、アイガモさんに置き換えることなんてできないよね。
だから、カモさんのやり残した領域をロボットに助けてもらう形になるんだろうね。
やっぱり、アイガモさんは偉大だよね。
なんせ、田んぼの稲を守ってくれるスーパーマンならぬスーパーバードだから。
おっ!なんかかっこいい響き、サンダーバードみたい。
すーぱー♪ ばーど♪ おあとがよろしいようで。(笑鴨)
2014.6.27
昨日のアイガモロボットで感心していたらいけません。
こちらは秋田県立大学が開発した(ジャジャーン)「ラジコン除草ロボット」。
岐阜の山の中と違って、八郎潟の真っ平らな所で考えると同じアイガモちゃんでも動きが違うんですね。
こちらのスペックは、回転ブラシ除草、ホバークラフトタイプ、水深は問わない、幅1.8m、ガソリンエンジン、満タン4時間稼働、除草面積1ha/4h。
なかなか頑張ってくれそうな雰囲気がしないですか?
将来的には、GPSを積んで自立走行できるようにするそうです。
これからは田んぼで合鴨さんを「こーい、こーい」と呼ぶ姿は見られないのかな?
2014.6.26
最近巷(ちまた)をにぎわせているロボット。
ワールドカップの開会式では、交通事故で全く足が動かなくなってしまった人に、脳波の信号を受け取って足の動きをサポートするロボットを装着して、目の前に置かれたボールを前に、念じただけで足が動いてボールを蹴る場面がテレビ画面に映し出されてました。
産業界では、一つのアーム毎にコンピューター搭載されていましたが、二つのアームを一つのコンピューターで制御するロボットが誕生し、今までになかった正確で複雑な作業を可能にしたと、脚光を浴びているそうです。
さて、無農薬の田んぼ向けに岐阜県で開発された「アイガモロボット」が発売を待ちかねています。
スペックは以下の通りです。
大きさ:50cm、重さ:12kg、稼働時間:一回の充電で3時間=30a
カメラで稲の列をとらえ、またいで進む。
田んぼの向こうまで行ったら、自動的に向きを変えて、次の列をまたいで帰ってくる。
田んぼの真ん中で動かなくなったら、拾いにいく。
旗を振って、助けてくれの合図をする人形はオプション。(うそです)
2014.6.25
先日、田んぼに来ていただいた会員さんには説明したのですが、合鴨さんたちが田んぼを万遍なく歩き回ってエサを探すと田んぼの水が濁ります。
これとは反対に、カモさんたちが畦に集まってのんびりと昼寝をしている田んぼでは、水は澄んで、太陽の光が地面まで届きます。
そうなると雑草の種はジッとしていられません。
スーッと芽を伸ばし、グングン育ちます。
田んぼの水が濁るも澄むも、エサのやり方ひとつで決まります。
カモさんの顔色を見ながら、田んぼの水色を見ながら、その日のエサの量を決めます。
2014.6.23
そろそろ鳥害対策の話題は飽きて来たでしょうから、サクッとまとめてみたいと思います。
まあ、鳥対策にこれだけ長い時間を割いてきたのは、それだけ問題が深刻だと納得して下さい。
今まで述べてきたこと+αを以下の表にまとめました。
結論から言えば、一つのやり方で効果があったからといっても、それに慢心しないで、相手の出方を絶えず観察しながら、対応してゆく必要があります。
また、いくつかの方法を組み合わせることで効果を高めることが出来ます。
鳥(カラス)はしつこいです。鳥はめげないです。そしてなにより、鳥はかしこいです。
こうやって、無い知恵を絞りながら、日夜戦いの火蓋は切って落されるのです。
誰か、ノスリ対策を教えて下さい。HELP!
2014.6.22
霞ヶ浦の周りには、蓮田(はすだ)と呼ばれるレンコン田や、金魚や鯉を育てる生簀(いけす)があります。
ここでも蓮の芽を食べられたり、稚魚を食べられたりして、鳥の食害に頭を抱えています。
最近では蓮の田んぼや生簀をネットで覆う方がいらっしゃいます。
これならば中に入られることは無いので安心です。
玉造合鴨水稲会の最長老Nさんが、テグスを避けてたびたび襲来するカラスの攻撃に業を煮やして、ついにすごいことを実行しました。
4反(40a)の田んぼに合わせてネットを特注し、スッポリと覆ってしまったのです。
効果は抜群で、空からの攻撃はピタリと収まりました。
しかし、残念なことに田んぼにネットを被せるのは、2年間だけで長続きはしませんでした。
勢いで始めたのは良かったのですが、あまりにも労力がかかるので、悲鳴を上げてしまったのです。
ワーォ!
2014.6.21
仏教国として有名なスリランカは、日本と同様に稲作が盛んな国です。
日本での主流は田植えですが、スリランカでは田植えはせずに種籾を直接田んぼに播くそうです。
実は、世界中で田植えは少数派で、多くの国では直播(ちょくは)が主流です。
日本でも直播の研究は古くから行われていますが、出ては消え、出ては消えであまりパッとしません。
直播と田植えの特徴を表にしました。
それで、何を言いたかったのかと言うと、
スリランカでの種播きの時の種籾の使用量が120~180kg/haと、日本の4倍以上あったのでビックリして尋ねました。
「なぜ、スリランカではこれほど多くの種籾を使うのですか?」
「種籾を播くと鳥が種籾を食べに来ます。だから、鳥の分も多く播く必要があるのです」
その時解りました。
スリランカは悟りの国なのです。
2014.6.20
鳥追いの基本中の基本と言ったら、案山子(かかし)でしょう。
ただこの案山子、ジッとしているので鳥に慣れられたら賞味期限切れです。
そこで、ある人が案山子を一週間毎設置場所を変えてみました。
すると、鳥は常に警戒心を持っていて、その緊張感は持続したそうです。
ある人に「カラスから鴨ヒナを守るのにどうしていますか」と尋ねたところ、
「空をジッと睨(にら)む、するとカラスは怯(おび)えて飛び去って行く」と言いました。
本当かどうか確かめてみようってね、空をジッと睨む人の側にいて、その空をジッと睨む人をジッと眺めていたそうです。
ずいぶんと暇な人もいたものです。
カラスにしてみると「あの案山子、時々動きやがる。不気味なヤツだ」と感じたのではないでしょうか。
ちなみに人件費の安い途上国では、人を雇って収穫シーズンだけ田んぼに住まわせ、雀がやって来ると大声で怒鳴らせたり、石を投げさていました。
そう言えば、フィリピンの農民は田植えシーズンになると田んぼに高床式の小屋を作り、二階を人間の住いにし、その下を鴨の住まいにしていました。
彼らに言わせると、田んぼに入れた鴨の天敵として一番恐ろしいのは、頭の黒い二本足のネズミなのだそうです。
こいつは性質(たち)が悪い。
2014.6.19
毎年冬になると全国に広がった合鴨仲間が、どこかの県に集まってピーピー、ガーガー近所迷惑なくらい熱気むんむんで語り合います。
この集まりは「全国合鴨フォーラム」と言い、地方では一匹狼で頑張っている人も、毎年この会に欠かさず来る人も中にはいます。
「オレは徒党を組むのが大嫌いなんだ」などと言いながらも集まって来て、年に一回気心の知れた仲間たちと酒を酌み交わしながらお互いの悩みを聞きあったりする大切な場なのです。
例えば「田んぼに入れたばかりの合鴨のヒナをカラスに持ってかれたけど、有効な対策は無いのか」と言う悩みは良く聞きます。
業を煮やして、カラスの死骸(body)を吊るした強者がいました。
これがまた良く効くんだ。
田んぼに鴨ヒナを放飼すると、山の方からやってきたカラスが2羽、田んぼに並行して走る電線の上にとまって、どいつを狙おうかと舌なめずりしながら見下ろしていました。
ところが、カラスのbodyを吊るすや否や、そいつらは空高く舞い上がり、空中を二回ぐるりと回ると「カー」と大きな声を上げ、どこかに飛び去って行きました。
あそこにいくと捕まえてぶら下げられてしまうぞ。近づくんじゃないぞ。と仲間たちに知らせに行ったのかもしれません。
それ以来、カラスは遠くの方を飛びはするものの、近くにはやって来なくなりました。
因って、このやり方はカラスに対しては、効果絶大です。
2014.6.18
田植えが終わり、田んぼに鴨を放して安心していたら、鴨を狙っている奴らの餌食となり、後で泣くことになります。
それが、四つ足ならば、ネットを張ったり、電線を回して電流を流すことによる電気ショックで攻撃を撃退することが出来るのですが、空から来るやつらには、そうはいきません。
写真で見えるかどうか不安なのですが、田んぼの畦にポールを立てて、釣り糸(テグス)を張ってあるのが解りますか?
写真の右上から左下に向かって白いテグスが、写真を天地に分けるように真横に黒いテグスが貼られています。
この糸の役割は、空から鴨を狙っている猛禽類の襲撃を絶つと言うか、やる気をそぐためにやってあります。
こんな糸が何の役にと思うかもしれませんが、結構バカにしたものではなく、サギ・カラス・フクロウには効果があるようです。
ただ、カラスは非常に賢いので、一度入れることが分かるといくらテグスを張っても何度でも入ってきてしまいますので、最初が肝心と言ったところでしょうか。
2014.6.16
行方の歴史第2節の始まり、始まり。
宮嵜さんの話は、神代の時代なので恐れ多いのですが、まとめると以下の通りになりますな。
http://namegata.mypl.net/mp/history_namegata/?sid=16849
平たく言えば、大和の武人と夜刀神(やとのかみ)つまり蝦夷ですな。
これらが水争いをして、大和が蝦夷の土地をぶんどって、蝦夷を山へ追いやった、と言うことらしいですわ。
日本の神話って面白いですな。
だって、神様と人間が戦って、神様が負けちまうんでげすから。
だいたい、神様と人間が土地を巡って争うなんて、えらく世俗的ですな。
「夜刀神神社」 訪問の後は、玉造の語源について教えて頂きましたな。
二つ説があって、一つは、ヤマトタケルノミコトがこの地は平らで細く霞が漂っているので「行細(なめくわし)」と名付けようと言ったのが、後に「行方」になった。
あれれ? 玉造じゃあないなあ。
ああ、そうか。
昔、ヤマトタケルノミコトがやって来て、うっかり勾玉(まがたま)を井戸におっことしてしまった。
ああしまった。
ここで勾玉を清めたことにしよう。
それでここを「玉清井」と名付け、それが後に「玉造」となりましたとさ。
めでたし、めでたし。
2014.6.15
今日は全くついてなくて、踏んだり蹴ったりの日だった。
①肥料散布用に買った手押し散布機が、タイヤのギアの所に土が入り1mも進まないうちにタイヤがロックし、全く使い物にならなくなった。
②肥料散布後に耕耘機を畑に入れたら、見た目は全く分からなかったのに、3m位進んだところに深い溝が出来ていて、タイヤがはまり動けなくなった。
③仕方がないので、耕耘機を畑に置きっぱなしにして、サッカー観戦をしたのだが、日本のパスサッカーが全く機能せず、コートジボワールにボコボコにやられた。
④試合直後、庭にいたら、隣のオヤジに見つけられ「頭に血が上った状態で作業しても、ろくなことにはならないぞ」と釘を刺されたのにも拘らず、30度を超す中、水も飲まずに草刈りをしたら、熱中症になりフラフラになった。
⑤熱中症になったことを奥さんに言ったら「あんたは、二重の意味の熱中症(サッカーの敗北を含む)なんじゃあないの」と言われた。
図星だった。(笑鴨)
2014.6.14
茨城アイガモ水田トラストの2回目の活動日で、午前中は田んぼの稲や鴨の成長を確認しながら、畦の草刈りを行いました。
カモちゃんたち、我々が田んぼに着くと満面の営業スマイルでお出迎えしてくれました。
午後は、行方市民俗研究家の野原小右二さん(左)と日本神話研究家の宮嵜和洋さん(右)をお迎えして、お話を伺いました。
野原さんには、手賀新田部落の成り立ちについて話して頂きました。
天明3年(1783)、浅間山が大噴火し、噴煙は大空を覆い、日光を遮断したことで、農作物の不作が数年間続きました。
当時の記録によると、天明の大飢饉と呼ばれ、50万人以上の餓死者が出たそうです。
食えなくなった富山の百姓は、国を捨て浄土真宗のお寺を頼って常陸の国まで流れて来ました。
手賀新田には、野原・理﨑・川井(管理人の妻の名字)の3つの姓がありますが、それぞれが富山のどこの部落出身か解っていて、今でも富山と親交があります。
当時、富山では抜け百姓のことを「走り百姓」と呼び、蔑(さげす)んだそうです。
また、受入れ部落民からも、210年前の出来事にも拘らず「入り百姓」「新田ぽ」「新百姓のくせに」などと、近年まで蔑視(べっし)され続けてきました。
だからこそ一致団結して、「結(ゆい)」の組織でお金や種籾を融通し合いながら、苦難を乗り越え今日までやって来ました。
部落の家の作りは散居村形式で、富山県の砺波平野と同じ造りにお国を偲ばせることが出来ます。
次に宮嵜さんの話ですが、地名の由来や神と人間との戦いなど内容盛りだくさんでしたが、丁度時間となりました。これについてはまた後日。
ハイ、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ(このギャグ分かる人絶対に昭和生まれ)
2014.6.13
(写真1)田んぼに行くとなんとなく緑緑している田んぼと白っぽく見える田んぼとがあります。
上の写真だと、真ん中の畦を境に右側が緑緑していて、左側が白っぽく見えるはずです。
(コンピュータの方は、写真をクリックして拡大して見て下さい)
(写真2)白っぽく見えた稲に近づいてみると葉っぱが白くなっているのが分かります。
(写真3)その原因は、葉っぱの上に黒い点が見えます。
これは、泥負い虫と呼ばれる虫で、成虫は蛍の様な姿をしているのですが、それよりも一回り大きくて光りません。
この虫は幼虫の時、乾燥に非常に弱いので、自分の糞を身にまとい乾燥を防いでいるのです。
こいつが稲の葉の葉緑体の部分を食べてしまって、白い幽霊のような稲にしてしまうのです。
では被害の方はと言うと、食害は梅雨の間だけで梅雨が明けるころ幼虫は成虫になり、食害は止まります。
そして稲からは新しい葉が出て来るので、特に防除は必要のない虫とされています。
それでも気になる方はいるもので、普及員に相談すると「田んぼが白くなるのは見苦しいよ。今は良い薬があるから使ってごらんよ。」などと勧められるのが、あの有名なネオニコチノイド系のお薬な訳です。
いやこれが本当に良く効くんだ。
田んぼが緑緑している圃場には、総てこの薬が使われていると思っても間違いはない。いやこれホント。
2014.6.11
田んぼの合鴨ちゃん達、実に大きく育ちましたよー。
引き籠りのカモちゃんたちとは、大きさ・羽の色・形状に違いがあることが見て取れるでしょう。
管理人の姿を見つけるや否や、ドドッ―と集まってきて、ピーピーピーと餌をねだります。
まだ、鳴き声はコガモの時とあんまり変わっていません。
けれども、その時に稲をなぎ倒しながら来るので、その度に稲の数が減っていくのが玉に瑕(たまにきず)です。(笑えないかも)
2014.6.9
皆さま、ごぶさー。
合鴨のヒナちゃんたち、5月29日からそれぞれの持ち場に就いたのに、この3匹はどうしても任地に馴染めず、強制送還されちゃったの。
はっきり言って、この人たち水商売には向いていなかったのよね。
だって、初めて田んぼに入った日に溺れてから、水がトラウマになってしまったのですもの。
それが証拠に、管理人が水に入れようと試みてもピーと叫んで、すぐに水から出てしまうし、シャワーで水でも掛けようものなら、必死になって逃げる、逃げる、逃げ回る。
なんとか水に慣れさせようと思い、池を渡らないとエサにありつけないようにしたら、その日はエサを全く食べない。
どれだけ水が嫌いなんだ!(笑鴨)
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健全な食卓は、健全な未来を創る。
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